【Soracom CEO】日本発スタートアップ企業CEOの川本さんに1年ぶりのインタビュー!!キャリア編

みなさん、最近話題のIoTについてどのぐらいご存じでしょうか?GoogleやAmazonなど様々なメーカーからIoT家電が発売され、もうすでに使っている人もいるのではないでしょうか?

IoT とは、センサーやデバイスといった「モノ」をインターネットにつなぎ、取得したデータを活用する取組みです。IoTシステムは従来高度な専門性が必要でしたが、周辺技術の成熟により、誰もが少ないコストで活用できるようになりました。業務の効率化や顧客への新たな価値提供など、あらゆる分野でビジネス活用が拡がっています。

6月後半に、Big pic主催で川本さんが登壇されるイベントについての情報も記事の最後に載せておくのでご覧ください!!

今回はそんな大注目の最新技術を使ってシアトルに進出している企業SoracomのEugene Kawamotoさんにインタビューしてきました!
実は1年前にも一度インタビューをさせていただいているのですが、色々そこから変わったことなどからスタートアップ企業のスピード感なども知ることができました。

ソラコムの米国CEO川本雄人氏が語る、グローバル展開とシアトル(前編)

1年での変化

小西(BigPic)
1年間でSoracomはどう変わりましたか?

川本さん
昨年本社をシリコンバレーのメンローパークからシアトル近くのベルビューに移して、現在はこちらを主な拠点にしています。ハイアリングにも力を入れていて、今は米国社員が十数名まで増えました。ハイアリングは続けていて、年末までにはさらに増やす予定でいます。オフィスは引き続き、こちらとベイエリアにあって、シアトルは主にセールス、オペレーションと一部エンジニアリング、ベイエリアは主にマーケティングの拠点としています。ベルビューではWeWork、ベイエリアではWeWorkとSpacesと言うコワーキングスペースを併用しています。

小西(BigPic)
場所によって仕事内容を分けているのですね。

川本さん
シアトルにはアマゾンやマイクロソフトがあり、テックセールスの人材は豊富ですが、マーケティングに関してはスタートアップのグロースマーケティング的なスキルセットを探していて、こちらはベイエリアの方が探しやすく、場所によって採用を分けることにしました。
色々と細かいピボットはしていますが、事業内容は1年前とほぼ変わらずやっています。この1年でUSの事業も順調に伸びていますね。大企業からスタートアップまで幅広く顧客層が増えています。最近では、AgTechやコンシューマーデバイスで面白い会社が増えています。

小西(BigPic)
たった1年ですごい成長ですね!1年前と比べて新しくやり始めたことはありますか?

川本さん
Soracom IoT Technology Accelerator Programという取り組みを始めました。最近プレスを出したばかりの本当に新しいものですね。ここではプロダクト開発中でまさにこれからプロダクトをリリースしてグロース・フェーズに移行しているシードからアーリーステージのスタートアップに向けて技術支援をしています。特にプロトタイプから量産プロダクションに移って行くにあたって、考えていなかったようなテクニカルブロッカーもたくさんあり、色々なスタートアップがつまずくようなポイントを早い目におさえるようにしています。シアトルに1社、シリコンバレーには3社現在支援している会社があり、これから増やして行く予定でいます。それぞれの会社と出会うきっかけは様々で、知り合いの知り合いであったり、直接ウェブサイトからインバウンドリードとして質問が来て支援に繋がっていくこともあります。

小西(BigPic)
1年あればそんな新しいものも生まれてくるのが、まさにスタートアップですね!川本さんの生活面はどのように変わりましたか?

川本さん
シアトルに来て5年以上経つので、そこまで大きな変化はないですね。Soracomも成長している段階だけれど、中心メンバーの年齢層が高く力の入れどころが分かっている人が多いのでそこまで四六時中仕事だけに没頭しているわけではなく、仕事とプラベートはうまく両立できていると思います。シアトルと言う土地柄それがやりやすい環境もありますし、年齢的なこともありますね。おじさんベンチャーって言っています(笑)無駄な会議は減らし、コミュニケーションはSlackを活用し、社員それぞれも結構リモートで仕事をしていることも多いですね。日本のメンバーともAWS時代から長く仕事している人も多いので、お互い信頼関係が築けているので、時差があってもコミュニケーションはスムースに出来ています。

これまでのキャリア

小西(BigPic)
大学卒業からのキャリアを教えていただけますか?

川本さん
大学では機械工学を専攻していました。当時は理系の学生は大学院に行くことが一般的で、就職する場合は大体が大手製造業の研究・開発部門で、私も研究室の先生が紹介してくれた企業を薦められましたが、その道しかないのか疑問に思っていました。研究室ではサーバーのネットワーク管理をしていた関係でITの世界に触れる機会があり、可能性をすごく感じていたので、その方向で就職先を探していました。その中でも当時IBMがSEを積極的に雇おうとしていた時期でもあり、自分の性格が研究・開発向けじゃなかったことや早くお金を稼げるようになりたかったこともあり、セールスとテクニカル両方のスキルセットを必要とするSEに魅力を感じて就職しました。
そこから当時はIBMにあった留学制度を使ってMBA留学に行きました。戻ってきてから少し勤めて転職しましたが、こういう形で行かせてもらえたことは今でも感謝していますね。

小西(BigPic)
ずっと留学したいと思っていたのですか?

川本さん
自分自身が帰国子女であることや父が海外の大学院に行ったことも影響して、ずっとぼんやりと行きたいなとは思っていましたね。テクノロジーの最先端といえば西海岸ですし、その周辺の学校に行きたいと思っていて、実際西海岸を中心に大学を受けていました

小西(BigPic)
MBAのための勉強はどれくらいされたんですか?

川本さん
めちゃくちゃしました(笑)留学制度のルールとして合格までに1年しか猶予がなかったのでTOEFLとGMATの勉強やエッセイの準備を寝る間を惜しんでしていました。当時は大手銀行のプロジェクトに入っていて、仕事が終わると既に夜遅く、そこから深夜まで勉強して、数時間だけ寝て、また会社に行くような生活をしていましたね。社内試験に受かると会社が受験資格をくれるけど、実際に大学の試験に受かっていくのは自分なので必死でした。

小西(BigPic)
やはりMBA留学は簡単じゃないものなんですね。アメリカから帰ってこられてすぐにAmazonに就職されたのですか?

川本さん
はじめはAmazonじゃなかったんです。当時は金融バブルでヘッジファンド、プライベートエクイティファンドや投資銀行に行くのが流行っていて、興味はあったのですが自分にはファイナンスのバックグラウンドは無かったし、そもそも会社派遣で留学していたのでまずは日本に帰りました。その後、たまたまビジネススクールの先輩経由でブティックファームに声をかけてもらい、IBMを辞めてそこからファイナンスの世界に入りました。大企業から突然数名で仕事を回すようなプロフェッショナルファームに入り、経験の無い分野でもあったので色々と学びも多かったです。回り道しているようですが、この経験がなかったら今の仕事にも繋がっていなかったように思いますね。

小西(BigPic)
どうしてそこからAmazonに行こうと思われたのですか?

川本さん
リーマンショック後で景気も冷え込んで、仕事が激減してまずいなと思っていたときに、ある案件を通してクラウドコンピューティングを知りました。その当時は、クラウドはまだほとんど知られていませんでした。AWSと言うサービスがあるのを聞いて、実際コンソールにログインしてみたら数分で仮想サーバーが立ち上がることに感動しました。IBMの若手時代に冷房の効きすぎたデータセンターにこもりっきりになり一ヶ月とかかけてサーバーの環境を準備していたので、Time to Marketがあまりにも違いすぎるので、これはITの世界が変わるなと確信しました。そこで当時アマゾンで働いていた高校の後輩経由でAWSの事業開発の求人に申し込みました。実は、そのときの最終面接官がIBMの元同僚でSoracomの創業者の玉川です(笑)その後、AWS Japanの社長の長崎さんや玉川含め最初は数名でAWSの日本事業の立ち上げをやりました。Soracom にも当時の同僚が何人かいます。当時のメンバーはそれぞれの分野で大活躍している人ばかりで本当に人に恵まれていました。

小西(BigPic)
Amazonですごく素敵なご縁があったのですね。そこからどういう経緯でアメリカに来られたのですか?

川本さん
元々US側の上司だった人のポジションが空いたのがきっかけです。そこを埋めるためにシアトル本社に来ないかと声をかけられました。色々な候補者がいる中、わざわざ東京にいる私にオファーを出してもらえたことは嬉しかったですね。シアトル本社ではAIや機械学習、アナリティクス、データベース系サービスのグローバルな事業開発責任者をしていました。AWSの中でも次世代の核となる事業で、急速に伸びている事業でもあったので、注目もされていましたし、やり甲斐もありました。

小西(BigPic)
そこからソラコムへの経緯はどのようなものだったのですか?

川本さん
SoracomはAWSの元同僚の玉川とCTOの安川含めた3人が2014年に日本で創業しています。当時から定期的に事業進捗を聞いていて「面白いなー」、とは思っていましたが、彼らとまた一緒にする仕事する機会はなかなかありませんでした。3年程経って、2017年にKDDIに買収され、海外投資、特に米国の投資を加速させることを聞きました。私もAWSで7年近く間働いて、そろそろ新しいことを探している時でした。
日本初のIoTのグローバルプラットフォームを成功させるために頑張っていると聞いて、またAWSの初期の頃のようなワクワクする経験が忘れられなく、ジョインすることにしました。玉川は会えば分かるのですが、チャームのある人で、夢もデカイんですよね(笑)

まとめ

1年前のインタビューと比べ、すごく変わっていることの多いSoracomはまさにスタートアップのスピード感だと感じました。変化がめまぐるしいIT分野の中で先頭を走っていようと思ったら、常に変わり続けることが求められているのだと実感しました。
次回の記事では川本さんのキャリアへの考え方やこれからを語って下さいました!リンクはこちら

【Soracom CEO】日本発スタートアップ企業CEOの川本さんに1年ぶりのインタビュー!!人生編

川本さん登壇イベントのお知らせ

シアトル時間の6月23日(日曜日)に川本さんとメルカリCEOの石塚さんが登壇されるイベントを私たちBIG PIC主催で行う予定です!日本に向けてのYouTubeの配信も予定しているので是非この機会をお見逃しなく!!

【執筆者情報】小西悠夏

関西学院大学教育学部4年生。1年休学してシアトルBellevue Collegeに留学中。最近自炊を始め、安くておいしいパスタソースを探し求めている。

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