99秒のピッチコンテスト「Founders Live Seattle」を潜入調査!

 

「99秒でピッチってどういうこと!?」

最初にこのイベントを見つけた時は、衝撃でした。99秒で製品の魅力を伝えるなんて、どう考えても難しいですよね。

プレゼンが上手いイメージのアメリカ人ですが、そんな彼らが99秒で本気を出したらどうなるのか!?好奇心に身を任せ、今回のイベント「Founders Live Seattle」に潜入してきました!

Founders Liveとは?

Founders Live  のメインイベントはスタートアップによる99秒のピッチコンテストです。

Founders Live 公式サイトより引用

各スタートアップの代表者が99秒以内で自社の製品を売り込み、観客の投票によって優勝企業が決まります。

優勝するとイベントの最後にエキシビジョンとして、もう一度自社を宣伝することができます。投資家の目に留まれば資金調達のチャンスを獲得することができ、スタートアップの大きな支えとなります。

さて、Founders Liveは「アーリーステージにいる世界中の起業家たちを繋げよう!」と2016年にシアトルで始まったイベントです。

アーリーステージとは、スタートアップの成長段階の一つです。事業立ち上げの準備から企業として安定するまで、それぞれの段階に名前が付けられています。(他を知りたい方はこちらのサイトが分かりやすいです。)

スタートアップの段階(Microsoft公式サイトより引用)

そして、アーリーステージは事業立ち上げから3年程度の駆け出しスタートアップの段階を指します。この段階では赤字のことも多く、ビジネスとして成功するためには、まだまだ支援が必要です。

Founders Liveの創始者・ニック氏はアーリーステージ段階の起業家のネットワークが未発達であると感じていました。また、他にもネットワークイベントはあったものの、ユニークさやインスピレーションが不足していました。

そこで始めたのが「99秒ピッチコンテスト」です。現在はアメリカ・カナダの15都市で開催されており、規模はどんどん大きくなっています。今後、イギリスやケニアでも開かれることが決定しています。

今回の参加企業

2018年5月31日、Founders Live Seattleに参加した企業は以下の5つです。

PhotoPad 
Sodo
Cluck
Vimocity
employHER

それぞれのプレゼンの様子と事業内容を簡単に説明していきます!

PhotoPad 

第一声は「アドビ(画像編集ソフト)が使いにくいと思う人は手をあげてください!」と、他社の批判から始めるインパクト大のピッチでした。

画像左上の司会者もちゃっかり手をあげている。

そんな彼女たちの製品は、簡単な操作を追求したデザインツールです。

この製品は、企業がSNS投稿やキャンペーンに使用する画像を効果的、かつ短時間(15分以内)で作ることを可能にしました。また、画像の作成から公開するまで、全てPhotoPadの中で行えることも強みです。

Sodo

Sodoロゴ(当社HPより引用)

SodoではDevOpsという概念を元に、ソフトウェアをより迅速に消費者まで届けるための方法を顧客へ指導しています。

DevOpsとは、ソフトウェアの開発チームと運用チームが連携することで、システム開発を加速させる概念・手法のことです。

このスタートアップの設立者たちは、MicrosoftやAmazon、Netflixといった名だたる企業のエンジニアチームで経験を積んでいます。そこで培った経験を生かし、顧客の開発スピードを加速するためのリーダー研修やアドバイスを提供しています。

(ピッチでは筆者が事業内容を全く理解できなかったため、こちらの記事を参考にしました。)

残念ながら、この会社はピッチを99秒以内に終わらせることができず、中断されてしまいました。会場には「あっ……」という空気が流れます。

それを打開したのが、ピッチ直後に行われたアメリカンジョークの効いた質問です。

What are you doing?」(何について話してたんでしたっけ?)

これに応えて、プレゼンターはピッチを続きから再開し、最後までちゃっかり話し終えます。機転の効いた質問とノリが、アメリカ文化を感じさせました。

(同社HPより引用)

Cluck

Cluckは、Craiglist上での口コミサービスを提供します

Craiglistとはアメリカで人気のローカル情報交換サイトで、物の売買や賃貸契約の相手を探すことができます。しかし、サイト内の取引にて詐欺が発生することも多く、問題となってきました。

そこで、Amazonやメルカリのように口コミや出品者評価を記載するのがこのスタートアップのアイディアです。

アイディアが分かりやすいため、ピッチ中の観客の反応も良いように感じました。

Vimocity

(同社HPより引用)

ケガや病気を事前に防止するための健康管理アプリを提供している会社です。

主な顧客は個人ではなく、従業員の健康維持を目指す企業です。同社によれば、1週間のうち平均5.5時間の勤務時間が何らかの痛みによって無駄になっています。そこでVimocityは従業員の怪我や病気を事前予防することで、会社の損失を最小限にすることを提唱しています。

アプリでは、個人に合わせて適切な運動が提案されます。また、企業に対してVimocityが健康指導を行うことも可能です。

(同社HPより引用)

employHER 

女性のテクノロジー業界就職を支援するサイトです。

男女平等・多様性・女性の社会進出を促すため、女性専用の就職マッチングサイトとなっています。

いかにもテック企業の集積地であるシアトルのスタートアップですね!

優勝したのは……?

司会者(左)とCluckの設立者(右)

Craiglistでの口コミサービスを提供するCluckが優勝しました。

勝因は分かりやすいサービス内容と、消費者目線の観客の興味を引けたことだと予想しています。

ちなみに、従業員の健康管理アプリを提供するVimocityとは僅か1票差でした。筆者は迷いながらもCluckに投票したので、思いがけず1票の重みを実感する結果となりました。

 

99秒ピッチのカラクリ

さて、やはりこの99秒ピッチにはカラクリがありました。

それは4分間の質疑応答タイムです。なんと、ピッチの2倍以上の時間が設けられているのです!

そしてプレゼンターたちは1つの質問に対し、約1分で答えます。1分といえば99秒ピッチの約2/3の時間ですから、実質ミニピッチです。質問に答えながらも、巧みに補足情報を加えることで自社製品の良さを強調します。

また、質問タイムにはアメリカ人の「具体的な数字」と「例」へのこだわりを感じました。「この製品で何%改善できるの?」「具体的な使用例をあげていただけますか?」といった類の質問が多く、国民性を感じる機会となりました。

ピッチの練習だけではなく、質疑応答の対策も怠ることができませんね!

まとめ

The Riverterというコワーキングスペースで開催された今回のイベント。100人近くの観客が集まり、ピッチ前後にネットワーキングを行う様子は熱気に満ちていました。

今後もこのようなイベントへ積極的に参加し、アメリカのスタートアップの風を全身に浴びて行きたいと思います!

 

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【執筆者情報】
山中 苑
大阪大学外国語学部を休学し、Bellevue Collegeにて留学中。和訳記事にて『本日のニッチな英単語』コーナーを細々と担当している。渡米するまでシアトルをシドニーと呼び間違え、アラスカはアフリカにあると信じていた。マイブームは格言集め。

 

 

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