前編はこちらから↓↓
Sandi Lin Skilljar社CEO:
初期段階のスタートアップを軌道に乗せることは、決して簡単ではありません。しかし、Lin氏がリーダーシップを取ったことで、Skilljarはより良い方向へ発展を遂げました。
シアトル発の同社はたった1640万ドルの調達額で、企業向けの人材育成プラットフォームを成長させました。Skilljarが提供するのはバックエンドのテクノロジー・ソフトウェアです。これらを使用することで、企業はクラウドベースのトレーニングや新人研修を作成することができます。
Skilljarが抱える150社以上の顧客の中には、大企業も含まれています。例えば、 Verizon、Tableau、Cisco、Spotify、Zendesk等です。
Lin氏はスタートアップ設立前の数年間、Amazonで働いていました。そこでMIT卒・スタンフォード卒の仲間と、Amazonマーケットプレイスの売り手に対し、より良いトレーニングの必要性を見出しました。そして2013年に共同設立者 Jason Stewart氏と共に、Skilljarの前身であるEverpathを立ち上げました。
Everpathは、シアトルにてTechstarsがアクセレーターとして関わっており、授業を行うオンライン講師のプラットフォームです。授業を検索エンジンで探すのに似ています。しかし同社は2014年に、似たような問題を抱える大企業を顧客に見据え、事業拡大の機会を提供して行く方針へ転換しました。
Skilljarは毎年、前年比3倍の顧客を獲得しています。2016年から2017年にかけては、3倍の収益を得ることができました。Lin氏は120億ドルの市場だと推定されるこの市場を、「カスタマー・イネーブルメントや顧客向けトレーニングの新時代」へ先導できることにワクワクしていると話しています。この新時代では、毎年40〜100人の労働者が増える予定です。(編集部より/カスタマー・イネーブルメントについては記事の最後『本日のニッチな英単語』で解説しています。)
Daryn Nakhuda Mighty AI社CEO:
スタートアップMighty AIこそ、Nakhuda氏の今の目標です。彼はベテラン起業家で、Eyejotの共同設立者です。また、様々な企業で重役を務めた経験もあります。例えばSpam Arrest、Mixpo、TeachStreet、Amazon、Porchといった企業です。
そして現在率いるシアトルのスタートアップ・MightyAIでは、コンピュータービジョンやAIによる自然言語処理のためのトレーニングデータをサービスとして提供しています。これにより、人工知能の能力をより高める手がかりを得ることができます。
このテクノロジーは、自動運転車の発展にとってかなり重要です。Mighty AIは少なくとも12社の自動車メーカーと協同しています。同社は乗り物に関するAIエンジンの改良を進めるため、人々の視界に関するデータを集めています。例えば、道路上で前方に見える物体を、潜在的な障害物として判断する、といったものです。
以前はSpare 5として知られていたMighty AIですが、最近ボストンとデトロイトに新たなオフィスを設置しました。社員数65人の同社が後援企業から集めた金額は、現在2700万ドルに達しています。後援企業は、インテルキャピタル、アクセンチュア、Foundryグループ、マドローナ・ベンチャーグループ、New Enterprise Associates 、GV(Googleの投資子会社)などです。
Nakhuda氏は同社の設立に協力しており、昨年8月にCEOに就任しました。前CEOのMatt Benche氏は肝臓ガンと診断されたため退職し、昨年10月に他界しました。
Kieran Snyder Textio社CEO:
Snyder氏はTextio社の堅実なリーダーです。彼女は2017年から2年連続でCEOオブザイヤーにノミネートされています。
彼女はMicrosoftではマネージャーを務め、Geek of the Weekでも特集されています。彼女たちが行う文章の分析は、企業の求人リストや候補者へのオファーメールの改善に役立っています。Textioはそれらを点数化する際に、使われている言葉や、掲載先の団体などを指標にしています。
Texioでハイスコアを記録した企業は、能力が高く、多様な候補者と出会うことになり、彼らをより早く獲得することになると同社は述べています。
Snyder氏は自分の娘たちからインスピレーションを得たと話します。娘たちのバスケットボールチームを指導する中で、テクノロジーとチームの関係性を学ぶことができたことを、彼女は光栄に思っています。
Snyder氏はペンシルヴァニア大学にて自然言語処理や計算言語学について学び、言語学の博士号を取得しました。彼女は自称「言語と数学オタク」で、この2分野に関わってキャリアを積んできました。
設立から4年が経ったTexioは最近2000万ドルを調達しました。そのお金で、求人メールや営業のコミュニケーションなどへビジネスを広げる予定です。現在同社の顧客にはApple、Microdoft、Slack、Twitter、BP、 Johnson & Johnsonなどがあります。
(2018年4月16日『GeekWire Awards 2018: CEO of the Year candidates lead their companies to big growth』全文和訳)
原文: TAYLOR SOPER
customer enablement
BtoB企業が、取引先の企業が自社でできることを増やす取り組み
SaaSビジネスの登場により、顧客が簡単に製品を買い換えることができる時代になりました。そこでBtoB企業は、取引先に商品を売るだけでなく、何か付加価値を提供する必要が出てきました。
それが、カスタマー・イネーブルメントです。(カスタマー・サクセスとも言われます。)
例えば、今回記事内で登場したSkilljarの場合、取引先の社員教育に使用できるクラウドベースのプラットフォームを提供しています。
BtoB企業がSkilljarと契約することで、取引先と製品の取引だけでは無く、社員教育まで手伝ってしまうということですね!
SaaSは最近発展したものだという認識でしたが、既にSaaSの特性を生かした新たなスタートアップが成長している段階でした……!
今後もスタートアップを調査することで、最先端を追い続けていきたいと思います!
【執筆者情報】
山中 苑
大阪大学外国語学部を休学し、Bellevue Collegeにて留学中。和訳記事にて『本日のニッチな英単語』コーナーを細々と担当している。渡米するまでシアトルをシドニーと呼び間違え、アラスカはアフリカにあると信じていた。マイブームは格言集め。
コメントを残す