ベンチャー企業がインドの最貧困層を救う【GeekWire】

このソーシャルベンチャー企業がユニークなアクセレーター導入でいかにしてインドの最貧困層を救ったか

BY LISA STIFFLER on March 7, 2018 at 7:30 pm

アクセレーター
既にある企業の事業を爆発的に成長・加速させるために必要な資金投資やサポートをする働きのこと(引用元リンク

他都市だけでなく、地球の反対側の新ベンチャー企業まで支援するような人々が集まったスタートアップの中心地。それがシアトルです。

ウパヤ・ソーシャル・ベンチャー(Upaya Social Venture)は最貧困層の住民を雇っているインドのスタートアップをターゲットに定め、これらの発展を促進する役割を担っています。非営利のこの団体は、過去7年で14社の「社会に影響を与える」企業に投資しており、7700人もの雇用を創出してきました。

全ては10年前の実験から始まりました。その頃ウパヤの2人の共同設立者、 サチ・シェノイ(Sachi Shenoy)氏とシリラム・グッタ(Sriram Gutta)氏はユニタス(Unitus)にて活動していました。貧困層向けの小口金融や少額ローンを通して、貧困問題に取り組む団体です。1日1.9ドル未満の生活を送るインドの最貧困地域の住民を助けるため、実験は行われました。彼女たちは5件の実験対象家庭に欠けていた、基本的なニーズを満たしました。1日3回の食事、ヘルスケア、子どもへの学校教育です。これらが提供されてから、その家族は仕事を得られるようになりました。

計画には6つのアプローチがありました。

サチ・シェノイ氏。チーフイノベーション委員であり、ウパヤ・ソーシャル・ベンチャーの共同設立者。(写真はウパヤより提供)

「私たちはシンプルに初日から、人々と所得を生む活動をつなげ、どうなるか見てみる予定です。」とシェノイ氏は言います。もし未だに残る需要を最初に解決していなければ、ただ早々に仕事を得た人々が他の実験対象者よりも大きく成功したという結果になっていたでしょう。

結果が出た後、シェノイ氏とグッタ氏はユニタスのもう1人の同僚スティーブ・シュワルツ(Steve Schwartz)氏とチームを組み、2011年にシアトルを拠点とするウパヤを設立しました。スタッフや役員の多くが小口融資や世界の貧困に反対する活動をしてきており、PATHや今は活動していないヴィッタナ(Vittana)からも集まりました。

PATH/ヴィッタナ
PATHはシアトル拠点の非営利の健康促進団体、ヴィッタナは同じくシアトル拠点で発展途上国の学生向けの少額融資を行なっていた団体。

数社を対象に行われた調査によれば、ウパヤがインドのスタートアップのサポートを始めたことにより入社後2年以内に80%の人が最貧困地区から引越しをしていることがわかりました。

当初ウパヤは毎年2社ずつ提携していました。昨年アクセレータープログラムを導入してからは、8社のスタートアップに助言を、最終的にはそのうち2社に株式投資を行うことになりました。一社はムンバイに拠点を置くアップスキル・マネジメント・サービス(UpSkill Management Service)というベンチャー起業で、スキルを持たず、ほとんど教育を受けていない労働者のトレーニングに注目したビジネスです。

アップスキルのCEO・共同設立者であるマンシ・アグルワール(Mansi Agarwal)氏が最近シアトルを訪れました。彼女の旅の一部を「大学発起業家プログラム」という、シアトル大学の実験プログラムが支援しました。1週間にわたりアグルワール氏は学生や企業と面会し、彼女の経験を話すほか、地元のスタートアップ企業について学びました。

マンシ・アグルワール氏。アップスキルのCEO兼共同設立者がウパヤ・ソーシャル・ベンチャーの集会で話した様子。2月24日、ベルビューヒルトンホテルにて。(写真はウパヤより提供)

アグルワール氏はすべての土地の起業家の心に響くだろうスタートアップの教訓を残しました—こんなときは新しい方法を探してみるのです。仮説が間違っていると分かったとき、スキルを持った人材の採用に苦しんでいるとき、そして努力しているのにベンチャー設立や拡大がうまくいかないとき。

「私たちは3回ほどビジネスモデルを考え直さねばなりませんでした。」とアグルワール氏は話しました。最初は貧困層への住居提供を目指していましたが、社員研修用の経費ローンへ変わりました。そして最終的に人々が本当に必要としているのは、同僚と話すためのコミュニケーションスキル、上司への報告、基本的なデジタルリテラシーや財務管理能力といったソフトスキルだということに気がつきました。

ソフトスキル
コミュニケーション、語学力、リーダーシップ、ファシリテーションなどのスキル(引用元リンク
アップスキルは2013年に設立され、人々の家から近い企業や仕事を対象として、専門トレーニングと同じようにこれらのソフトスキルを提供しています。仕事は自動車修理や裁縫、コールセンター、おもてなしやデータ入力等です。同社は自社ビジネスへ新たな一手を加えました。独自のソフトウェアを開発し、生徒や教育者、働き手が必要な企業の研修やコミュニケーションを支えることにしたのです。

「こういった変更にはちょっとした挫折感が伴いました。」とアグルワール氏は語ります。「それでも毎回考え直すたびにゴールへ近づく様子はワクワクしたし、魅力的でしたね。」

このメッセージがシアトル大学の学生の共感を呼んでいたと同大学経済学部の教授ミナークシ・リシ(Meenakshi Rishi)氏は述べています。学生たちは「起業家がいかに機敏に立ち回らければならないか」を学び、「理性と感情の両面から動いている」ことを知ったようだと彼女は話しました。

シアトル大学は世界のために活動することを強調していますが、それを効果的に達成するのは難しいとアグルワール氏は感じました。『アグルワール氏は「私の方法は間違っているのかも」と言うほどだった』とリシ氏は語り、そこから他の方法を試すことにしました。

アップスキルはプログラムのメンバーを30%に伸ばすことを目指している。プログラム開催者も含んだ数字だ。 (写真はアップスキルより提供)

アグルワール氏もウパヤのチームも、支援が必要な人を助けることを表す時に施しではなく「社会事業」という言葉を使います。

ウパヤは次のアクセレータープログラムとして現在企業の申し込みを受け入れています。プログラム終了まで2・3社から資金援助を受けながら、10から12のスタートアップを選ぶと言われています。非営利団体ウパヤは個人の寄付者や財団からサポートを受けており、ビルゲイツ・メリンダ財団はその一つです。ウパヤはポートフォリオ内の会社の成功を重ねながら、インドを超えて拡大してゆくことを計画しています。

「投資した会社がウパヤの助けなしに持続的に運用できるようになり、株をすぐに売ることができたら、私たちはまた次の会社を助けることができます。」とウパヤのCEOケイト・コクラン(Kate Cochran)氏は言います。「これが私たちの成長モデルなのです。」とも。

アグルワール氏は自分のベンチャーを非営利団体ではなく会社として経営することで、収入から確実に資金を得ることができ、アップスキルの事業拡大を可能にすると考えています。

今まで彼らは9つの研修センターを開設し、4500人もの卒業生を輩出してきました。来年はさらに5000人を教育する予定です。アップスキルは現在2社の新たなソフトウェア会社と協働しており、これによって今後彼らのプラットフォームへ4万人を加えることができるでしょう。

また、アップスキルはヒンディー語や英語以外の言語での研修も提供しようとしています。「まだ問題は山積みです」と話すアグルワール氏。「でも前に進むしかないんです。」

(『How this social venture firm is helping India’s poorest with a unique startup accelerator』より全文和訳)

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