ジャーナリズムの未来を救う、オランダの新興メディア「De Correspondent」

どうも、りょうです!みなさん「パラダイス文書」はご存知でしょうか?名前はめちゃくちゃ楽しそうのですが、中身は決して楽しいものじゃないんです。社会に存在する負を暴く文書ですね。実は私、日本の大学でジャーナリズムを勉強してたのですが、このパラダイス文書から学ぶことは非常に多いのです!

大手企業や名門大学も税逃れの可能性?

ケンブリッジ、オックスフォードなどの名門大も税逃れか 100超校名、投資記録も

英国の名門、ケンブリッジ大とオックスフォード大や、コロンビア大など多数の米大学がタックスヘイブン(租税回避地)のファンドに投資していることが10日、「パラダイス文書」で分かった。「所得税対策」との記載を含む文書もあり、課税逃れの疑惑が浮上している。

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に参加する英紙ガーディアンによると、2006年、オックスフォード大は340万ドル(約3億9千万円)を英王室属領ガーンジー島のファンドに投資した記録があった。ケンブリッジ大の投資額は170万ドル。

プリンストン大やコロンビア大など全米104校の大学名もあり、同様にケイマン諸島など租税回避地のファンドに投資している。パラダイス文書はICIJが南ドイツ新聞を通じ入手した。

産経ニュース 『ケンブリッジ、オックスフォードなどの名門大も税逃れか 100超校名、投資記録も』2017年11月13日

パラダイス文書とは、タックスヘイブン取引に関する機密情報を扱った文書群のことを指します。いや、タックスヘイブンってなに?って感じですよね。少なくとも僕はなに?って感じです。

タックスヘイブンっていうのは、法人税など一部の税金がほぼなし、もしくは一切なしという税制優遇措置をとっている地域や国のことを指すらしいです。このような地域に名前だけの会社を作って、企業が税金逃れしようとしてるよ!っていうのを暴露したのが、パラダイス文書のようです。

実は以前似たような文書が公開されたんです。それが「パナマ文書」ですね。こっちの方が聞き覚えがある人が多いのではないでしょうか?かなり世間を騒がせていましたね。

パラダイス文書にしろパナマ文書にしろ、どうやってこんなに機密情報を集めたのか気になりませんか?実は、これはジャーナリストが莫大な時間とコストを捧げた「調査報道」の結果なのです。

スロージャーナリズムとファストジャーナリズム

この調査報道と呼ばれる手法は、スロージャーナリズムと呼ばれています。このジャーナリズムの報道に関して、簡単に説明させていただきます!

調査報道の例として有名な「リクルート事件」

ジャーナリズムには2つの報道手法があります。それが、スロージャーナリズムとファストジャーナリズムです。

スロージャーナリズムとは「じっくり時間をかけて、社会に存在する問題を暴き出す」というものです。パラダイス文書なんかはまさにこれに該当しますよね。

一方で、ファストジャーナリズムというのは、「とにかく速報性を意識したスクープ」のようなものがこれに該当します。「◯◯総理、辞任発表!」みたいな記事はこっちのタイプです。

僕は大学でスロージャーナリズム(調査報道)に関して学んでいたのですが、実はこの報道手法がどんどんと縮小してきてしまっているのです。理由は単純で、「金銭と時間のコストがかかる割に、記事として形になる割合が低く、ビジネスとして厳しいから」です。

このままじゃ、パナマ文書やパラダイス文書などの調査報道が出てこなくなってきてしまう可能性があるわけです!社会の闇を暴いてくれる人たちがいなくなり、「声なきものに声を与える」ことができなくなってしまうんです!

実はそんな現状に立ち向かおうとしている、調査報道スタートアップが存在するのです!

オランダの調査報道特化型、会員制メディア「De Correspondent」

ジャーナリズム業界に新しい風を吹かせているのが、オランダのスタートアップ「De Correspondent」です。なんとこの新興メディアは、クラウドファンディングを活用し、たった8日間で15,000人以上から約100万ユーロ(約1億3000万円)もの創設資金を集めて、2013年にスタートしたのです。

そんな激アツのメディアなのですが、3つの方針が存在します。

1.広告収入に頼らない。

これは定額課金制の会員型メディアにするということですね。ほとんどのメディアが広告収入に頼りながら運営している中で、異色の存在ですよね。正直、広告ってうっとうしいから、こーゆーのいいなぁと思います。かなり強気ともとれますね!笑

2.当たり障りのないフラットな書き方はしない。

記者の感情や思いを込めるということです。これ、かなり新しいですよね!日本の新聞なんかでは、記者の意見が出てくるのは社説くらいです。この会社は、記者と読者の対話型のメディアを目指しているので、論点が生まれることが重要なんでしょうね!

3.表面で上辺だけをなでたコンテンツにしない。

これは深く掘り下げた記事を常に書き続けるという宣言ですね。彼らはニュースを知ること自体よりも、その背景の構造などを理解することにジャーナリズムの意義を置いているのです。

既存のメディアに比べたら、かなりユニークですよね!ジャーナリズムの新たな可能性を感じさせてくれる新進気鋭のスタートアップです。

まとめ

日本の大手メディアは調査報道の部門を縮小しつつあります。しかし、このような海外の事例を参考にしながら、調査報道という形態を存続させる方法を考えていければいいのかなぁと思います。

今回のスタートアップにように、優秀な記者がスタートアップに集まるということは日本では起きづらいかなとも思います。しかし、大手メディアでの過労死事件が問題になるなど、メディアのあり方に疑問が生まれてきています。そんな今だからこそ、このようにジャーナリズムを再定義するようなスタートアップや事業が出てくるタイミングなのかなとも思います。

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