Amazonの日本人社員であり人気ブロガーの鵜飼さんが教えてくれた”海外就職の現実”とは【前編】

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突然ですが、みなさんは実際に海外で働く際に一番はじめに立ちはだかる壁ってなんだと思いますか?

英語力?経済力?コミュニケーション能力?

実はそうではなかったんです!そんな海外で働く時のリアルなお話を、実際にアメリカで働いていらっしゃるAmazonの日本人社員の方にお伺いすることができました。

今回インタビューさせていただいたのは…

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鵜飼 勇至(Yuji Ukai)さん

愛知県一宮市出身。東京大学工学部及び同大学院にてロボット工学を学ぶ。新卒で外資系コンサルティングファームに入社。数年の経験を経てITメガベンチャーに転職し、モバイルゲームのデータ分析業務に携わった後に、日本で培ったノウハウを海外に展開するためにサンフランシスコ支社に移籍。アナリティクスチーム及びプロダクトマネジメントチームのヘッドを務めるが、サンフランシスコ支社の閉鎖に伴い、Amazonシアトル本社に転職。現在はAmazon Web Services傘下のAmazon Game Studiosにて、シニアプロダクトマネジャーとしてゲームの開発及びデータ分析基盤の構築に携わる。

現在の仕事に到るまでの経緯

現在のお仕事に至られた経緯について教えてください

外資コンサル時代の鵜飼さん。(新人社員研修にて)

2005年に大学院を出て、大手外資系コンサルに就職し6年間働き、その後ITメガベンチャーへ転職し、その会社から2013年4月にサンフランシスコ支社への出向を命じられ渡米しました。しかし2016年の年末にその支社が閉鎖となってしまい、就職先を探していたところAmazonへの転職が決まり、2017年の3月にシアトルにきたという感じです。

サンフランシスコ支社への出向はどのような形で決まったのですか

ITメガベンチャー時代。(海外赴任前の送別会にて)

当時勤めていたITメガベンチャーがサンフランシスコに支社を持っていたのですが、その事業があまりうまく行っておらず、日本からテコ入れ部隊を送ろうという話が持ち上がっていました。私は当時社内で業績がよかったプロジェクトを担当していたことと、ちょうど英語を勉強しようとして受けたTOEICの点数がよかったことが上司にたまたま見つかってしまって(笑)それで私に白羽の矢が立ってしまったような形です。

もともと全く海外志向はなかったのですが、せっかくの機会だし行ってみよう!と思いアメリカに行くことを決意しました。

前職では具体的にはどのようなお仕事を担当されていましたか

データ分析を担当していました。当時ビッグデータやデータアナリティクスという言葉が流行っていた時代だったので面白そうだなと思い、コンサルからの転職を決めました。具体的にいうと、ユーザーがそのゲームを”どんな風にプレイしているか、どんな時に面白いと感じたり、課金をしたいと感じるか”などをデータを使って分析していました。またそれらの分析結果をもとにゲームの改善施策などをチームにプレゼンするといったような仕事もしていました。

サンフランシスコ支社が解散したのち、たくさんインタビューを受けられたというお話をブログで拝見させていただいたのですが、Amazonを選んだ理由を教えてください

Amazonを選んだというより、カリフォルニアにいた頃に受けた面接でことごとく落ちてあとが無くなってしまった時に、たまたま前職の同僚がAmazonに勤めていることを思い出して彼にコンタクトをとった結果、なんとか面接までこぎつけたという感じですね。反省を生かしてかなり入念に準備をしてから面接に臨みました。その結果なんとか内定をいただき、晴れて転職が決まりました。

その後も何社か面接を受けてみたのですが、それ以降はだいたい受かったので準備の大切さを思い知らされましたね。

Amazon入社後の仕事内容

Amazon入社後、現在のお仕事内容を教えてください

Amazonでゲームを作っています。なんでAmazonがゲームを?と思われるかも知れませんが、実はAmazonはゲーム分野に非常に力を入れているんです。最近のゲームは、1人でプレイするのではなく、オンライン上で他のプレイヤーと協力してプレイするものが人気があるんですが、これを実現しているのが、Amazon Web Services(AWS)というクラウドサービスなんです。AWSをより多くのゲーム会社さんに使っていただくために、ゲーム作りをサポートする様々なサービスを追加しているのですが、これらをいち早く取り入れてゲームを開発し、サービスのショーケースとなるとともに、サービス開発チームにゲーム開発者の視点から詳細なフィードバックを提供するために作られたのが今私が所属しているAmazon Game Studiosという組織です。よければ検索してみてください。

そのお仕事をされる上で、楽しいことを教えてください

基本的に、モノづくりはとても楽しいですね。Amazonならではという意味だと、普通のゲーム会社ならゲーム自体から売上を上げる必要があるため、ゲーム性を損ねてしまうような課金の仕組みも採用しなければならない場合が多いんですが、Amazonはそのゲームを作る仕組みを販売したり、AmazonのもつTwitchというゲーム動画配信サイトからも収入を得ているため、ゲームそのもの以外の場所からも利益を生み出すことかできるんですね。だから、ゲームからの売上のためにゲーム性を損ねること無く、本当に面白いゲームづくりに専念できるところが魅力ですね。あとは会社のカルチャーとして、短期的な売り上げを追うのではなく、長期的なユーザーベースの構築を進めていけるというのも気に入っている点です。

ゲーム開発のお仕事というとかなり多忙で寝る間も惜しんで働いているというイメージがあるのですがAmazonではどうなのでしょうか

それは基本ないですね。日本で働いていた頃は終電帰りがデフォルトだったのですが、今は夕方の5時ごろには帰路についています。

アメリカでの働きかた

アメリカにきてから変わったご自身の働きかたやライフサイクルなどはありますか

日本にいた頃は朝早くにオフィスにきて終電まで働くものだと思っていたのですが、こっちではそうではなくて、好きな時間にきて帰ればいいし、なんなら出社しなくてもいいんです。途中で会社を抜けてヘアカットにいく社員もいるくらいですよ。

日本とアメリカの両方での就業経験がおありだと思うのですが、日本と比べた際のアメリカの良さを教えてください

私のように家庭を持っている人は家族との時間を多く作れるという意味ではアメリカがおすすめですね。でも若い頃にはオフィスでガリガリ働くのも好きだったので、どちらが良い悪いということではなく、個人がそれぞれのライフステージやライフスタイルに合わせて働き方を選べるのが理想かなと思います。

アメリカにきてから価値観やバックグラウンドが異なる人々と働く上で受けたカルチャーショックはありますか

日本は上下関係に関してかなりしっかりしており、外資コンサル時代は特に厳しかったのですが、アメリカはその辺かなりフラットですね。立場がかなり上の人にも話しかけやすい環境が整っています。

あとは業務時間中にお酒を飲んじゃうことにもびっくりしましたね。アメリカは日本のように夜にみんなで飲みに行くということは少ないのですが、チームでランチに出かける機会が多く、その際に普通にアルコールを注文して飲んでいますね。でもこれもアメリカのエリアによって違っていて、西海岸は比較的寛容なんですが、東海岸では多くの会社で禁止されてるみたいです。

海外で働き始めて今年で6年めという鵜飼さんですが、未だに英語で苦労していることはありますか

意外とReadingが大変ですね。というのもAmazonのミーティングではPowerPointを使わず、全て資料をWordで作成してミーティングの最初にそれを黙読する時間があるんです。その後にその資料について疑問点があれば質問するという形で会議が行われるので、ネイティブが読むのと同じスピードで読まなければならずそれには未だに苦労しています。

【前半】はここまで!

【後編】ではいよいよ鵜飼さんの思う”海外で就職する際に誰もがぶち当たる壁”について語っていただきました!

こちらの記事ではLinkedInについて鵜飼さんのご意見をいただきました!

また、鵜飼さんはブログTwitterで英語学習や海外就職に関する情報を発信しており、目から鱗の学習法や、海外で働く際に気をつけるべきこと、また実際に海外で働いてみて感じたことなど皆さんにとって必ず役立つ情報を発信していらっしゃるのでぜひアクセスしてみてください!

また現在鵜飼さんは、noteにて【海外就職攻略の教科書】Amazonシアトル本社の採用試験のために僕がしたこと全部を出版していらっしゃいます。
こちらは鵜飼さんご自身の経験を元に作られており、内容もとても濃密なものになっておりますので”いつかは私も海外に!”とお考えの方はぜひ目を通していただきたいです。

【執筆者情報】
渡邊望美
慶應義塾大学文学部を休学し、現在はアメリカのワシントン州シアトル郊外にあるBellevue Collegeに留学中。アメリカのスターバックスで名前を聞き取ってもらえず辛い日々を過ごしている。特技は昼寝。趣味はYouTube。

 

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