BY TAYLOR SOPER on
スターバックスのCEOが今後の中国進出について語る。同社は中国にて最大の店舗をオープンしたばかり。
スターバックスは中国にて15時間に1店舗のペースで新規店舗を開店しています。そんな中、今週世界の注目を集める出来事がありました。
それは同社が上海に30000 フィート(約9.1km)平方もの新しいロースタリーを新設したのです。「コーヒーのワンダーランド」と呼ばれるこのロースタリーは今週火曜日に開店し、スターバックス史上最大の店舗となりました。
同社が最も業績を伸ばしている国に建てられたこの新しいロースタリーは、2014年シアトルで生まれた元祖ロースタリーの2倍の大きさです。新ロースタリーの特徴は、異なる製法によるコーヒーが楽しめる3つのコーヒーバー、3Dプリントが施されたティースタンド、イタリア風のベーカリー「Princi」、そして木で手作りされた1万枚もの六角形タイルが貼られた天井です。またロースタリーは2階建てで、40トンの重さの銅製の樽にはスターバックスとコーヒーについての逸話が1000文字を超える中国語で手彫りされています。
このロースタリーでは拡張現実(AR)の体験といったテクノロジーが活かされています。これは中国の技術系大手企業、アリババ社との協力で導入されました。同社は自社が持つT-mallというオンラインショッピングサイトで焙煎コーヒーを含む商品を販売しています。Yahoo!によればこのロースタリーが開店してから48時間以内で、T-mallの売り上げは100万ドルに達しました。
スターバックスは来年、ミラノやニューヨークで新たなロースタリーを開くことを検討しています。また、2019年にはシカゴや東京にもできる予定です。
10月に行われたGeekwireのサミットにて、スターバックスのCEOであるケヴィン・ジョンソンはこのロースタリーが同社にとって「改革の中心」だと話しました。現在スターバックスは75カ国にて2万7千もの店舗を営業しており、週あたりの利用客は9000万人に及びます。
「私たちがこのロースタリーで始めた改革を全てのスターバックス店舗を通して、世界中に伝播させていく様子がじきに分かるでしょう」とジョンソン氏は述べました。
スターバックスは中国国内で136都市に3000以上の店舗を持ち、上海だけでも600店舗あります。中国が同社の急速な成長を代表する市場だと言えます。スターバックス社によれば、今四半期での売り上げが世界の店舗平均で2%向上したのに対し、中国では8%伸びました。今年7月には中国東部に残るシェアを獲得するため13億ドルを投じ、中国全土を運営市場として統一しました。
今週上海にて行われたプレスイベントにて、ジョンソン氏が「中国は10年以内にスターバックスの最速成長市場になる」と話したとSouth China Morning Postは報じました。
「中国で増え続ける中産階級がより頻繁にスターバックスへ来店するようになれば、私たちはこの先何十年も店舗を拡大していくことができるでしょう。」とジョンソン氏はGeekwireのサミットにて語りました。
スターバックスは中国で新しいデジタル商品やサービスを試すこともできます。中国には7億人近くのスマートフォン使用者がいるのです。7月に頭取のホワード・シュワルツ氏はスターバックスがより多くの中国技術系企業と協力関係を結ぶことをほのめかしました。
「この協力関係は中国人顧客の方がデジタルネイティブという点でアメリカ人よりも進んでいるという事実に基づいています。」と彼は述べています。過去にスターバックスはWeChatでソーシャルギフトサービスに参画するため、中国技術系企業Tencentと協力関係を築いています。
Geekwireサミットにて、ジョンソン氏が言及したのがスターバックスの「統一された商業プラットフォーム」を作ろうという活動です。これが実現すれば、国際的市場間での取引を滞りなく行うことができます。
「キーとなるのは世界展開してゆくために私たちが作っているソフトウェアです。全ての国に対応するためにはあと2年間くらいかかるかもしれませんね。」と彼は加えました。
スターバックスが地元の文化と調和しながら世界中に顧客体験を生み出す方法を問われたところ、ジョンソン氏は店内をウェルカムな雰囲気にし、最高品質のコーヒーを提供すること、そして一番重要なのが人と人との繋がりだと答えました。彼はこのつながりを「地球に住む私たち一人一人が共通して持っているもの」だと表現しています。
「私たちはみんなで喜びや悲しみを体験します。同様に苦闘や成功もみんなで経験します。」とジョンソン氏は話します。「ですから、人類が集団で生きている事実をただ定着させてゆくのです。私たちは他者からエネルギーをもらって生きています。お店の中で人々がつながる環境を作れば、これがどこでも機能するということですね。」
ジョンソン氏はスターバックスがどのように実店舗での体験とデジタルイノベーションを結びつけるかについても話しました。
2017年に小売業者が考察すべきことついて尋ねられたジョンソン氏は「一つは、経験を生かした小売に注目することです。これはお客様の目的である店舗での体験を作り出します。」と答えました。
「そして二つ目は、体験を実店舗での販売からデジタル化された店外での関係にまで広げるべきだということです。つまりこれを達成する最初のステップが、店内での経験の向上と、既存のお客様とのデジタル化した関係への投資です。」
Geekiwireサミット内で行われたスターバックスCEOのケヴィン・ジョンソン氏へのインタビューの全容は、上の動画からご覧下さい。
(2017年12月9日『Starbucks CEO talks about the future in China, where coffee giant just opened its biggest store yet』より全文和訳)
brick-and-mortar
店舗販売
インターネット上の販売に対して、対面販売という意味合いで使われるみたいです。
brickはレンガ、mortarは漆喰です。レンガと漆喰でできたお店=実店舗ということですね〜!
どうやら中国にガンガン進出していく様子のスターバックス。店舗でAR(拡張現実)が使えるなんて面白そう!
コーヒーの質だけでなく、顧客体験に注目する視点の大切さについて考えさせられる記事でした……!(その)
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