突然ですが、みなさんは、”ボランティア”の経験ってありますか?
私は正直、留学に来るまで、あまり興味がありませんでした。日本って多分ボランティアって誰しもが経験するものではないですよね。けど、アメリカは違うんです。そんな文化の違いにも着目してみた今回のインタビュー、少し長くなってしまいました笑
このスタートアップは私たちが和訳を行なっているGeekwireの中でもトップ200に選出される、今注目のスタートアップです!数多くのテック企業がランクインする中、”ボランティア”をビジネスにする、少し特殊なスタートアップ。
バリバリ出世コースを駆け上がっていた彼が、転職、そして自らのボランティア活動から得たキャリア観はなんだったのでしょうか?
Moving Worlds
VolunteerとExpertiseを掛け合わせた、Experteeringの場を提供する会員制のコミュニティーをつくり様々なサポートを行う。人が自分のスキルを生かし、世界にインパクト与えるために、会員のプロフィールを元に個人に合ったExperteeringのプロジェクトを提供する。サイトはこちら。
Moving Worlds設立までのキャリアについて
これまでいくつかの仕事、会社を経験されていますがこれらのキャリアの決め手は何だったんですか?
そうだね、少し遡って話すと、僕は会計学修士をワシントン大学院で取得して、始めは学生インターンで会計士としてPwCで働き始めたんだ。それと、学生時代はボランティア活動に力を入れていて、仕事についてからもボランティア活動は続けていたね。
PwCでの仕事はすごく楽しかったし、会社の人もいい人たちだった。他のコンサル会社からも内定を頂いていたし、このまま続ければきっとうまくいくと思ったよ。けれど、どうしても自分にとってベストな仕事だとは思えかったんだ。
だからPwCを辞めて、新しい道を探すことにしたよ。そんなとき友人の紹介を通じて、出会ったのがWhite Healthcare Marketingだった。
当初は会計士を必要としていると言われて、会計士をやるつもりはなかったから、何度か話し合っていたんだけど、結局会計士の仕事からまたスタートしたよ。笑 ただ、ここでは会計士としてだけでなく、マーケティングの仕事も任せてもらえたんだ。
マーケティングはボランティア活動でやっていたことに似ている部分が多くてそれまで以上に楽しく働いていたよ。それからしばらくして、マーケティングの仕事だけをするようになって、プロジェクトリーダーを任せてもらったり、様々な経験をして、会計士の時以上に、成果を出せるようになった。
けれどその後、仕事を辞めて一年ほど世界でボランティア活動を行われていますよね。これはどういう経緯で?
チームをまとめる側になって全体を見たときに、この会社でできる仕事と社会で求められていることのギャップがすごく大きく感じたんだ。当時の僕が、できるのはクライアントに求められた範囲内でのマーケティング。そしてそれらは、社会に与える影響より利益が優先されるのが当たり前だった。
けれど僕は、ボランティア経験を通じて、非営利団体やソーシャルビジネスがどれだけ必要とされているか知っていたから、それらを必要としている人を手助けする仕事がしたいと思って、会社を辞めることを決め、約一年ボランティア活動に専念することにしたんだ。
そのボランティア活動で知り合われたのが共同創設者のデレックさんですよね!運命的な出会いだと思うのですが、二人がMoving Worldsを始めたきっかけを教えてください。
スタートアップやNPO、色々な団体、世界中の国でボランティアをしていて、その活動を通して、ボランティアに求められているのは、できないことの手助けではなく、自分で生きていく力を身につけるためのサポートだと感じたんだ。
それをデレックに話したところ意気投合したのが始めだね。ボランティアに来る人が自分のスキルや経験、つながりを活用したボランテジア活動を行うための架け橋になる会社としてできたのがMoving Worldsだよ。
私あまりボランティア団体やNPOに詳しくないのですが、なぜMoving WorldsはNPOではないんでしょうか?
それは、NPOでは社会が抱える問題を根本から解決することができないという僕たちの考えからなんだ。NPOは資金を調達してホームレスの人に食事を提供したり、ヘルスケアサービスを行ったりする。これはホームレスの人を助けることはできてもホームレスを無くすことにはならない。本当にホームレスを無くそうと思ったら、すべきなのは、教育格差、家庭の暴力、LQBTQや宗教に対する差別といった問題を解決することなんだ。
けど、そういった根の深い問題に対する資金調達はとても難しい。だから、僕たちは社会にインパクトを与え、そういった社会問題を解決するために、NPOではなくソーシャルビジネス(Social Enterprise)の形をとったんだ。
ところで(マークさんから)、日本の人は、ボランティアって結構する?(日本人がそこまでボランティアに積極的じゃ無いことを知っている様子。)
日本とアメリカのボランティアに対する考え方の違い
そうですね、ボランティアはやりたい人がやるもので、みんながみんな経験しているものではない気がします。アメリカは、逆で、学生時代たぶん全員と言っていいくらい、何かしらのボランティアに参加しますよね。
うん、イギリスやアメリカはボランティア活動に対する意識が高いと思う。社会の一員として、社会に貢献するという考えがあるんだとも思うけど多くの人は、あまり考えてないかもしれないね。笑 ただ、参加するのは当たり前のことになっているんだと思う。
深い理由があるというよりは、それが当たり前な国で、日本はそうではないという、文化の違いなんですかね。
そうだね。ボランティア活動に関して、僕らなりの意見を加えるとすれば、もちろんAmazonの社員やMBAの学生もホームレスの人を助けるためのボランティアに参加することはできるけど、彼らが持つ専門性(Expertise)を活かせば食事の提供だけでなく、ホームレスを減らすことができると思うんだ。
だから、なんでもボランティアに参加すればいいという考えではなくて、自分は何ができて、どう助けられるのか何を大切にしていてそれをするのか、を考えてほしくてハフポストなどで記事を書いてアイディアを共有しているんだ。
働くことは、生活する一部。たまに、働かなくてもよかったらって思うこともあるけどね笑
そういった想いが込められたのがExperteeringなんですね。スタートアップのCEOとして自分の会社を持って働くことと会社に雇われて働くことのモチベーション違いはなんですか?
「働かされている」という感覚が無いことかな。今の仕事は、私にとって掃除や料理などの家事のようになんの不満もなくするような生活の一部になっているよ。働くことに対してたくさんのエネルギーや刺激で溢れてるんだ。ただ、責任も大きいけどね。アイディアが思い浮かんだり不安が生じたり、夜中に起きることもある。たくさんのエネルギーを消費するけど、とても楽しく働けていると思うよ。
働くことにネガティブな気持ちはないんですか?
もちろんあるよ。笑 ときどき働くことがとても大変に感じるし、働かなくてもよかったなら、、なんて思ったりもするよ。けど、大変なことは楽しくもある。問題に直面した時に、それを解決するための答えはない。自分のアイディアで問題を乗り越えることは大変だけどすごく楽しい。つまらないと感じる仕事もあるけど、それをすることが会社のためになると思ったらエネルギーが湧いてくる。
以前もスタートアップのCEOにインタビューをしたのですが、彼らはみんな社会にインパクトを与えたい気持ちがありました。そのような気持ちはありますか?
もちろんあるよ。私たちが会社として存在する理由は世界を良くすること。そのために、支援が必要な場所に適切な人材を送り出すこと。ユーザーが経験した素晴らしい話を聞くと、楽しい気持ちと同時に、私たちが人々の生活を変え、そして世界を変えていることを実感する。私は働いていると同時に世界を作っているような気がしているんだ。
経験豊富なマークさん、教えて!!”会社の選び方”
突然なんですが私たちはこれから働く会社の選び方がわからず、すごく悩んでます。マークさん助けてください。笑
私たちは完璧な仕事に就かないといけないというプレッシャーを自分にかけすぎてる気がする。けれど、そんな仕事は存在しないかもしれないし、大切なのは仕事のことを考えすぎるのではなく、自分自身のことをしっかり知ることだと思う。
その上で仕事を選ぶ時、僕は3つの要素を考える。どんな環境で働きたいか、どんな目的で働きたいのか、どんなスキルを伸ばしたいのか。
まず働く環境とは、スタートアップや中小会社で働きたいのか大企業で働きたいのか、自分が会社のボスになりたいのか上司にサポートしてもらいながら働きたいかなどだね。
働く目的は、人それぞれあるよね。私は社会が抱える問題を解決していくことに充実感を覚えるけど、私の妻だったら一人一人を助けていくことの方が大きな充実感を感じられる。自分の目的を見つけて欲しい。
キャリアの早い段階では経験も少ないため3つの要素をすべて満たす仕事に就くことは難しいかもしれない。だから、まずはスキルを伸ばすことを最優先にして仕事を選ぶことが大切だと思う。そうすることで他の要素を満たす仕事に移っていくことが可能になると僕は思うよ。
最後に
学生に一言メッセージをお願いします!
“Don’t ask what the world needs. Ask what makes you come alive and go do that – because what the worlds needs is people who have come alive. H. Thurman”
(世の中が何を必要としているかと尋ねることはない。 自分がイキイキと活気づくことは何か尋ね、世の中に出て行ってそれをやりなさい。 なぜなら、世の中が一番必要としているものは、 イキイキと活気づいた人々なのだから。ハワード・サーマン)
感想
けんたりー
マークさんのお話で印象に残ったのは、仕事を選ぶ上で最も重要なことはスキルを伸ばせるかだということです。この話はアメリカの実力社会を表しているように感じます。アメリカのカレッジで会う学生からは仕事で役立つスキルを磨いたり、自分のスキルを証明する学位を取得するために勉強しているという意識が強く感じられます。日本でも価値のある人材になることを優先して仕事を選ぶことは、先行きの見えないこの時代においてとても重要だと感じました。
みおか
しっかりと自分のスキルを見極めて、自分のキャリアを選択している姿がとてもかっこよく感じました。自分のいる場所に納得させられることなく、自分のやりたいことを追求する姿勢を見習って、私も自分がイキイキと活気づける仕事を見つけたいです。
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