突然ですが、世界においてどの程度の割合の人々が電気のない生活を送っているか知っていますか?
その数はおおよそ15億人存在しているといわれています。全世界の人口を約75億人とすると20%にも相当する人々が、我々が普段当たり前に享受している電気にアクセスすることが出来ないでいる状況です。このような人々は特に東南アジアやアフリカに多く見受けられます。いわゆる、発展途上国と呼ばれる国々です。
Evaptainersとは?!
今回紹介する企業はそんな環境に置かれている人々の生活を改善しようと、電気が必要ない冷蔵庫を開発した「Evaptainers」です。
まず初めに簡単にこの会社について紹介します。この会社はマサチューセッツ工科大学の授業における、世界の10億人の人々の生活を改善するのに役に立つ何かを創るという課題から始まりました。
(授業内の課題のレベルに驚きますが、その課題に対して本当に10億人以上の人々の生活にプラスの影響を与える可能性のあるものを作り出す生徒たちは尊敬に値するなと個人的に思いました。)
彼らは電力供給率が低い発展途上国という市場で生産物を輸送する際の独自なニーズと課題に対応することが出来る手頃な価格の冷蔵ソリューションを提供するというミッションのもと活動しています。このミッションにはアフリカで生産される農産物の内、30~40%が消費者に届けられる前に腐ってしまうという問題点を解決したいという思いが込められています。この思いのもと、「Evaptainers」電気を必要としない冷蔵庫を開発しました。
EvaptainersのEV-8型冷蔵庫
それがこちらのEV-8型冷蔵庫です。この冷蔵庫は先ほどから述べているように一切電力を使用しません。よって、二酸化炭素を排出することもありません。必要なのは水と太陽のみです。一日に1/3ℓの水と、湿度65%以下の暑い日という条件が揃えば、冷蔵庫内を周囲の温度と比べて10-15℃低く保つことが出来ます。また水は、川の水でも海の水でも何でも大丈夫です。特殊なフィルターによって冷蔵庫内の熱気を外に排出することで冷蔵庫として成り立ちます。
また、この冷蔵庫は軽量でどこにでも持ち運ぶことが出来ます。簡単な条件さえ揃えば、いつでも・どこでも使えるポータブル型の冷蔵庫というわけです。
今までも農業援助プロジェクトでアフリカに冷蔵庫を建てようとしたプロジェクトはありましたが、立地や政治といった様々な理由で上手くはいっていません。さらに電力の安定的供給が難しい地域において冷蔵庫が作動するかもわかりません。これに対して「Evaptainers」の出した答えは電力を必要としない冷蔵庫を創ることでした。常識にとらわれないで、新しいことに挑戦することで変化を生むことが出来るのかと思いました。
最後に
私がこの会社について製品以外に、もう1点素晴らしいなと感じるところがありました。それはTechcrunch内でのインタビューで今後のビジネスモデルについて語っている場面です。ここで「Evaptainers」は今後、このEV-8型冷蔵庫をアウトドアスポーツやキャンプ用品バージョンも開発していきたいと述べています。それは支払い能力に乏しい途上国市場にこの製品を届けるためにはアメリカの消費者から得られる高い利益率が必要だからです。これを読んだときに、こういう考え方によって、慈善事業ではなく公益事業としてこの製品を売っていけるんだと感じ、感銘を受けました。
世界ではアフリカにおける冷蔵ソリューションの提供というものは関心を集めていて、下記のような様々なアイディアが出されています。しかし、日本企業による冷蔵庫供給という話題は見つかりませんでした。日本は電力供給のための技術支援はしているのに、こういった事業が見つからないのは残念です。いつか出てきたらと思います。
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