二児の母からスタートアップの社長へ!? 算数アプリ開発会社infinut

Ana Redmond氏 インド工科大学で学士号を取得し、ワシントン大学でコンピューターサイエンスの修士号を取得。大手電話会社AT&Tやエクスペディアなど複数の会社でソフトウェアエンジニアとして約17年働く。その後Infinutを2011年に設立。Infinutで働く側らで、ワシントン大学で非常勤講師としてプログラミング言語を教えている。

テクノロジーによって教育が大きく変わるー

みなさんも未来の教育の姿がどのようになるのかワクワクドキドキが止まらないと思います。

そこでエドテック(教育×テクノロジー)の最先端をいくアメリカのスタートアップにインタビューして参りました!

すると、アメリカのエドテックにおける困難が見えてきました、、、

 

Infinut

すべての子どもたちが算数の基本的なコンセプトの習得できるようになることをビジョンに掲げるスタートアップ会社。算数の学習をサポートするアプリを開発している。現在は家庭向けのアプリを提供しており、学校向けアプリと図書館で貸し出しているタブレット端末に標準されるアプリを提供する契約が進んでいる。

Infinutのホームページはこちら

会社の設立は娘への想いから

なぜ会社を設立するに至ったのですか?

私はこれまでエンジニアとして長い間働いてきましたが、テクノロジーの分野で女性がなかなか出世できないという現実に直面しました。そこで私はこのままエンジニアとして働き続けることはベストな道ではないと思い、休暇をとることにしました。私には二人の娘がおり、当時幼稚園児だった長女が算数をに苦手意識を持っていたことから、算数のアプリを開発し、娘に遊んでもらいました。すると効果はてきめんで、おお、これはいけると思いアプリをビジネスとしてスタートしました。

最初の数年は私一人で働いていましたが、2年前にアメリカ国立科学財団から賞を受賞し、補助金をいただいたことがきっかけでチームができました。グラフィックデザイナー、オーディオデザイナー、教育者がチームに加わり、今あるアプリが出来上がりました。

会社を設立したきっかけは娘さんだったのですね。

そうですね。会社を設立するモチベーションは子供達でした。しかしなにか自分で事業を持ちたいという思いは以前から少しありました。そこでウェブサイトを作ったこともありましたが全く上手くいきませんでした。しかし、自分の子供のためにと思って始めたアプリは今では150万ダウンロードされています。

Infinutのアプリが他の教育アプリより優れているのはどんなところですか?

私たちのアプリではカリキュラムのすべてをカバーしており、子供達の成果を確認することができます。これはほとんどのアプリではないことです。同じようなことをしているウェブサイトもありますがウェブサイトはタッチできるようにデザインされておらず子供が使うのは難しいです。

変わらない学校

教育分野でビジネスを行う上で大変なことはありますか?

スタートアップの会社はビジネスでお金が稼げるようになるまで投資を受ける必要があります。しかし教育分野で実績の少ないスタートアップは、投資を受けることが難しいです。なぜなら、新しいビジネスを学校に広げることは難しく、お金を稼げるようになるまで時間がかかる、と投資家の方々は考えるからです。しかし、社会にインパクトを与えたい一部の投資家は教育に興味がありますし、補助金を受けるなど他の手段で資金集めをすることもできます。ただ実際に学校にエドテックのビジネスを広げることは難しく、私たちもまだ問題を解決できておりません。

てっきりエドテックはアメリカでアツいトピックだと思っていました。

たしかにここ数年で大学などの高等教育にオンライン授業や教育ソフトウェアなどが導入されてきました。しかしK12(幼稚園から高校までの教育)ではまだほとんど変わっていません。これはビジネスチャンスとも言えますが、学校の制度を変えるのは簡単なことではありません。

なぜ学校にテクノロジーを導入するのが難しいのですか。

先生は子供達が、テクノロジーに対応するのが難しいと感じているのかもしれません。ですが実際子供達はすぐにテクノロジーを使いこなせるようになります。プライベートでも親のタブレットやスマートフォンを使いこなしている子供たちをよく見かけます。しかし、先生たちは現状のクラスの管理に忙しく、新しいことを始める余裕がないのかもしれません。

テクノロジーを学校に導入したら先生方にも時間的に余裕が生まれると思うのですが。

その通りです。しかし、テクノロジーを学校に導入する場合、先生方はそれを使いこなせるようになるまで時間と労力を割くことが難しいのだと思います。導入のための時間を作ることができれば、テクノロジーによって先生も新たに時間を作ることができるようになると思います。

どうしたらテクノロジーが学校に受け入れられていくでしょうか?

正直わからないですね(笑)。しかし、一つの可能性としては親から学校にかかる子供の成長を期待するプレッシャーがよりエドテックを推し進めるかもしれません。テクノロジーを活用した学習が家や図書館で行われていたら、親はなぜ学校ではテクノロジーを活用しないのかと考え学校にも変化を求めるでしょう。

もう一つの方法としてはテクノロジーを活用した学習の教育効果を証明することです。大きな問題として、子供達がタブレットを用いたゲームで学習していても、遊んでいるだけで教育効果はないのではないかという考えがあります。そのため私たちの会社も自社の製品に教育効果があることを証明するために研究を進めています。

Infinutが解決しようとしている教育問題はなんですか?

将来今の子供たちが大きくなる頃、多くの仕事がSTEM分野(科学、技術、工学、数学)になるでしょう。子供達は勉強で練習問題をこなすことよりも、学問のコンセプトを理解して、楽しんで勉強できるようになることが重要です。しかしSTEM教育には格差が存在します。現在、貧しい地域ではSTEM教育を受けることが難しい状況にあります。私たちはテクノロジーによって誰もがSTEM教育を受けることができるようになり、教育格差を縮小させたいと考えております。

最後に

最後に学生にメッセージをお願いします!

“Do what you are passionate about to build the world you want to see. Redmond”
(自分が見たいと思う世界を実現するための情熱に従うべし!Redmond)

感想

けんたりー
僕は現在アメリカのカレッジで勉強しているのですが、そこではオンライン授業、オンラインディスカッション、授業の課題や資料をオンラインで知らせてくれたりと、テクノロジーの恩恵を学生も講師も受けられていると感じております。小中学校でもエドテックが進んでいるかと思いきやアメリカでもなかなかテクノロジーが導入されていない現状があると知り驚きでした。今後、テクノロジーによって教育格差の是正や教育の質の向上と同時に、日本で問題になっている教員の業務の効率化も進んでいってほしいと願うところです。

みおか
私は、中学生の弟がいますが、同世代のホストブラザーたちは弟以上にパソコンやタブレットなどテクノロジーに強いイメージがあり、アメリカは日本より学校等でもテクノロジーに触れる機会が多いのだと思っていました。しかし、アメリカも日本と同じで、昔からあるものを変えるというのは教育現場において世界の最先端を行くアメリカでもなかなか難しいというのを今回のインタビューで感じました。テクノロジーの導入は先生側も生徒側にもきっとメリットが多いと思うので、少しでも早く日本もアメリカも様々なエドテックの導入が進めばいいなと感じました。

 

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