アメリカでパイロットに。絶望を乗り越え夢を叶えた男【後編】

パイロットになるという幼少期からの夢を、アメリカにて叶えた前田伸二さんにインタビューをしてきました!

前田さんは壮絶な過去を経験しています。大学時代に交通事故に遭遇。命の危機に陥り、それを乗り越えたものの、右目を失明しました。日本ではパイロットなることはもちろん、働くことさえ拒否され、一度は生きる希望を失いました。

数々の試練を乗り越えアメリカにて夢を叶え、新たな目標に向けて進んでいる前田さんが若者、そしてその親御さんに伝えたいこととは?

パイロットを目指している方はもちろん、難しい、苦しい状況にある、一歩が踏み出せないと感じている方にはぜひとも読んで欲しい記事です!

第一弾の記事はこちら↓

アメリカでパイロットに。絶望を乗り越え夢を叶えた男【前編】

さて、皆さんお待たせしました。今回の記事、第2弾では前田さんから読者の皆さんへの熱いメッセージを紹介していきたいと思います。

インタビューの後、前田さんは『正直言って、このインタビュー自体が記事になろうが、ならまいが構わない、インタビュアーの君たちが今日の話を踏まえて、自分たちがどう考えて、どのようにして自分たちの生活を変えていくかに興味がある』とおっしゃっていました。

私たちは考えました。。。「記事は書かなくてもいいのかな」と。しかし、この心の「熱量」を私たちだけでなく、日本にいる人たちにも共有して、なにかの動機づけになってほしいと思い、記事を書くことにしました。

では、後編をお楽しみください!

(※ところどころ前田さんの言葉をお借りして、筆者が誇張、または言い換えする恐れがあります。)

そもそも、自分のやりたいことをできている?

と言いますと?

これは日本のほとんどの大学生、もっと言えば社会人にも共通する疑問です。本当にしたいと思っていることをできているのか。

大抵の学生は大学受験を人生の目標のように設定し、合格を目指す。でもいざ入学すると、『アレ?有名大学に入ったけど、何したいの、私、僕?』と突然気づいたりする。結局、大学では必死にテストのためだけの知識を詰め込み、ただ単位のためだけに勉強、勉強。

そして、肝心のその先の目標がなかったりする。

確かにそれは大きな疑問ですね。僕も日本に居る時に自分が学んでいることと、理想のギャップによく違和感を感じていました。

それなら、早い時期からどのようにように「生きていく」か具体的にイメージできる訓練をすることが幸せな生活に結びつくのではないだろうか。。。。

俺はある意味そういった経験を自分の事故で半ば「強制的」に模索することになる。

18歳の時に事故に遭い、死にかけ、障がいをもち、両親は自分より早く亡くなる以上、頼れるのは自分だけ。だから生きていくためにはお金が必要で、そのためには仕事が必要。でも障がい者扱いをされ、仕事は手に入れることが出来ない。となるともう死ぬしかないとまで追い込まれた。

でも脱却することができた。なぜなら自分は事故以来、「どう生きていくか」と自問自答してきたから。だから、アメリカに渡るという選択肢も出てきた。

今の高校生、大学生にはよく考えてほしい。自分が何を学びたいのか。何をしたいのか。それを達成した先に何があるのかを常に考える。そういったことを常日頃から考えて生きれば人生もっと楽しくなるよ。

前田さんと世界一周で使用予定のビーチクラフト社のボナンザ

学歴って何なんだよ

(移動中の自己紹介タイム)実は自分、日テレに就職したくて、関東で強い早慶(早稲田・慶應)を上回るためにアメリカにマスメディアを学びに来ました(by 某メンバー)

なるほどね。確かに学歴は大事なものに見えるかもしれない。当時、俺が仕事を探していた時にも大勢の人から『ハァ?日大(日本大学)じゃ話にならないよ』『ましてや障がい者なんて』という言葉を投げかけられたことがある。

でも今の俺を見ればわかる通り、学歴が全てではないことがわかる。だから学歴が関与する仕事とは、この世の中、そんなにないのではないだろうか。無論、「教養は必要」だ。大切なのは自分がしたい勉強をすること。

その勉強ができる一番の環境を提供してくれる大学に進学すべきではないだろうか。例えば自分でメディアの世界に飛び込みたいのであれば、その学校にいく。それがないなら自分で全く違うメディアの世界を作っちゃうとか。。。。

話がそれましたが、学歴が全てでなく、自分の努力次第でどうにでもできるということですね

そうだね。社会において学歴が全てということはない。結局は学歴があっても仕事が出来なければ意味がないし。時々、高学歴の方々と一緒に仕事をさせていただく機会があるけど、学歴が必ずしも仕事の処理能力に直結するとは限らないなと感じることもあるよ。特に海外では。

だから大学名を重要視するのではなく、「何を勉強したくて、その学校にいったのか」を意識すべき。さっきも言ったように自分のやりたいことをするための努力の方が何百倍も大事なんだよ。

留学という選択肢

もし前田さんが高校性の時に今の時代を生きていたとしたら、もっと早く海外に出ていましたか?

高校を卒業したら間違いなく海外に出ていたね。当時は何を調べるにしても紙ベース。想像できないかもしれないけど、外の情報を調べようとするのは限りなく不可能に近かった。でも今はインターネットがあるよね、今から宇宙のことを調べようとすればすぐ調べることが出来るし。加えて、自分は高校生の時の恩師にずっと言われていた。『前田君は高校を出たら世界に行くべきだ』と。

でもそんな考えをしたことがなかったし、そんなオプションもなかった。なぜなら日本でもパイロットになれると思っていたから。だから結局日本を出ることをしなかった。

でも実際、海外に出てきてみてわかるのは、日本ではありえないことが起こりうるということ。俺みたいに日本では不可能だと言われ続けたことを実現させることだって出来るし、今みたいに週末に空港で飛行機がビュンビュン飛び立っていくのを見ながら飯食べたり、ちょっと外に行けば飛行機が触れちゃうんだよ。日本じゃありえない光景だろ。

空港内にあるレストラン。間近で飛行機が離着陸する様子を見ることが出来る。

それに、「片目が見えない? SO WHAT?(だから何?)」って言われるのがアメリカだ。

だから、インターネットがあれば昔は調べることが出来なかったであろう情報も楽々手に入れることが出来ただろうし、間違いなくもっと早く海外に出ていたと思う

カネがねぇ?俺もねぇ!!

先ほど、インターネットの存在があれば高校を出てすぐ海外に出られるとおっしゃっていましたよね、でも中には経済的余裕のない学生もいると思うのですが・・・

確かにそういう人もいるし、お金がないから行けないということは十分な理由だろう。でも一度考えてみて欲しい。

今この時代に生きる君たちにはインターネットというものがある。インターネットの力というのは君たちが思っている以上の力を持っていて、その力を使えばどこの大学に行きたいのか、どこで自分のやりたい勉強ができるのか、手に取るように見える。

当時、俺にとって、特異な航空事故を勉強できる大学は世界に2つだけで、アメリカかイギリスにしかなかった。加えて、大学院をでて修士号を取得できるところとなればアメリカしかなかった。紙ベースの資料を死に物狂いで読み漁り、やっとたどり着いたのがこの情報のみ

何となく航空事故に関する勉強をできることが分かったものの、結局どういうカリキュラムで、どういう施設を使って、具体的にどういった勉強をするのかというのは現地で見学してみるまでわからなかった。

ところがインターネットを使ってみれば。。。どうよ!!

キーワードを1つや2つ打ち込むだけで情報がポンポンでてくるだろ。俺が当時分からなかったような情報はもちろんのこと、画像・動画だって見ることが出来るんだ。そうなるとモチベーションだって桁違いに上がるだろ。そうなると、あとはどうやって実行できるかの問題だけなんだよ。

お金の話に戻るけど、今の時代はその準備をできる環境が整っている。ということは、みっちり自分の留学に向けた下準備が出来るということだ。そこで緻密に準備されたもの・計画、やる気を持ってすれば、返済不要の奨学金をもらえる可能性だって格段に高くなる。

俺から言わせてもらうと、今の日本の返済無用の奨学金制度なんて最高のチャンスだ。過去に奨学金を勝ち取った学生と話をさせてもらう機会がよくあるんだけど、俺も学生の時にしておけばよかった、手に入れられる可能性は十分あったなって思う。

だから、緻密な準備とパッションを持ってすれば奨学金をもらえる可能性は十分にある。当たり前のことを当たり前にこなせば結果が伴わないはずがないんだよ。それでも結果が伴わないのなら、そいつの努力が足りないか、もしくは方向性がずれてしまっているだけなのかもしれない。

結果的に俺は両親にお金を出してもらい留学をしたけれど、当時の俺ほどのパッションと綿密な準備があれば、奨学金をもらえていた可能性は十分にあったと思う。

ぐうの音もでない・・・

だから最初からお金がないから留学に行けないと断定するのは、俺は違うと思う。まずは自分で動き出してみないと何もわからない。

不可能??やれ。JUST DO IT!!!

では最後に、この記事の読者、または今の学生へのメッセージをお願いします

当時、日本にいる大勢の大人たちは俺にこう言った。『無理だ』『諦めろ』と。

でも、本当に時間はかかったが、俺は不可能と言われてきたことを着実に実現させてきた。それが出来たのは、自分の思い、コミットメント、行きたい環境に行かなければ、環境を変えなければという思いがあったから。そしてそれを応援してくれる人たちがいたからだ。無論、時間はかかった。でも遠回りだとは思っていない。

俺の場合はそれがアメリカだったからアメリカに出てきただけ。だから、自分のやりたいことが日本に居ても出来るんなら、わざわざ海外に出てくる必要はない。だって日本でできるんだから

ただ言えることは、日本ではいられないようなブッ飛んだようなやつに会いたければ、海外に出てくるのは絶対条件だろう。海外にいる日本人含めて。

俺みたいに元日本人の障がい持ち飛行教官もいないしね(※前田さんは現在アメリカ国籍を所持している)。それに加えて、海外はブッ飛んでる奴を受け入れる環境がある

俺がアースラウンダ―世界一周プロジェクト(エアロジパングプロジェクトの1つ)の話をした時も彼らは受け入れてくれた。

『めちゃめちゃおもしろそうじゃないか!!』『シンジ、何か俺に手伝えることがあるなら教えてくれ!』と。

シアトル航空博物館での講演が決まったのも、「あなたの思いを同僚に伝えてほしい」という関係者からオファーをもらったことに始まる。(※前田さんは2019年1月末にシアトル航空博物館にて自身のプロジェクト、エアロジパングプロジェクトについての講演を行っている。

でも日本だと対照的だ。

なんでそんなに危ないことをするの?』『バカだなあ』『やめなよ』って大人たちは言う。

俺は思った、『何で?』『何で後押ししてくれないんだ?』って。

日本には何に対しても否定的な大人が多い。なぜか?誰も責任を取りたくないからだ。誰々が言ったから、誰々のせいだ。誰も責任を負いたくないからそう言う。俺も若いころは、そういう大人たちに何度も何度も潰されそうになってきた。

何で背中をもう一押ししてあげることが出来ないのか、何で子供たちにそうさせてあげないのか。

俺が今一番君たちに伝えたいことは、まず初めてみればいい、ダメならその時に考えればいいじゃないかってこと。

失敗?それは全くもって失敗なんかじゃない。

結局これは、留学にも進学にも時には恋愛にも共通することで、ダメだったらダメでいい。やる前からできないできないって言ってる人間がこの世で一番つまらない。特に大人たちがこう言うのは本当に情けないことだと思う。

ダメだったらダメでいい、始めてから考えればいいんだよ。それを踏まえて自分が本当にやりたいことをできているかというのを自分自身に問うてほしい。

エアロジパングプロジェクトに懸ける思い

大切なのでもう一度。

これからはどのような活動を行うのですか?

2020年に単独で世界一周飛行に挑戦します。世界一周はエアロジパングプロジェクトの活動の一つです。片目を失い、命も失いかけた障害者の自分が飛行機で世界一周を行い、青少年、障害者およびその家族に、希望、強さ、そして喜びを呼び起こす機会と経験を提供します。世界一周中、訪問する国々で講演を計画していて、現在も様々な国と調整を続けています。

世界一周って聞くと、世界一周しました!万歳!っていうのが多いですよね。これもいいと思いますが、ぼくの世界一周は異なります。ぼくは世界一周することが目的ではなくて、ぼくの世界一周を通して人々に元気、勇気を与えることが目的なんです。

成功する確率は100%ではないです。しかし確率をあげるために、機体整備は西海岸でも有名な整備士が機体整備を続けており、準備は入念に行っています。

まとめ

皆さんいかがだったでしょうか。可能な限り、前田さんの思いをこの記事に詰め込んでみました。それでも、前田さんに会ったことがない人にとっては、不十分な思いもします。やはり直接会ってみて、話をしてみて、感じることでしかわからないことがありました。今回の前田さんのお話が少しでも皆さんの中にある、何かを押し動かす原動力になったらいいなと思います。ではまた!

晴天の下パシャリ。前田さんありがとうございました!

 

【執筆者情報】

竹下 隼平

大阪府東大阪市出身。関学国際を休学せずに留学中。好きな状況は四面楚歌。

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