今回は、米国三菱重工にて調達マネジメントのスペシャリストとして働く髙山恵治さんにインタビューに応じて頂きました!
実は髙山さんが筆者の大学のOBさんだったというご縁があり、今回インタビューをさせて頂くことになりました。過去に僕が知っている授業に登壇したこともあったりするそうで驚きいっぱいでした!
こちらの記事は、メーカーならではの調達マネージャー・バイヤーとしてのキャリア、航空業界、自動車業界、日本からの海外赴任に興味がある方に必見となっています!
ではお楽しみください!!
髙山さんプロフィール

現在:
米国三菱重工にてサプライチェーンマネージャーとして三菱重工と米大手航空機メーカー・ボーイングの橋渡しの役割を担う。
経歴:
北海道出身。関西学院大学総合政策学部を卒業後、豊田自動織機(株)に就職。同社で7年ほど調達・バイヤーとしての腕を磨き、三菱重工業(株)に転職。入社後8年ほど経ったのちに自ら手を挙げ、2018年3月から米国三菱重工・シアトルオフィスへと赴任。現在は駐在2年目。
現在のお仕事について

当社製品を作るときに必要な材料や部品を供給してくれるサプライヤーさんがたくさんいて、その会社と契約交渉し、適切な値段で、良い品質のものを、ジャストインタイムで供給してもらえるような関係を構築するのも調達マンの大事な仕事です。 但し、ボーイングのバイイングパワー(購買力、仕入れ力)を使って通常より安く購入できる部品や材料を当社にも適用出来る様に契約交渉し、それらをジャストインタイムで日本の当社工場にデリバリーできるような調整を日々やっています。 工場についた部品は当社で付加価値(加工・製造・組付け)をつけた製品となり、その後ボーイングへ出荷、ボーイングで各社の製品部位が組み合わさって一つの機体ができる。サプライチェーンとしての流れはこんな感じです。その流れでの各種問題の原因明確化〜早期解決が私の主な仕事です。 後は、ボーイングとの契約交渉だけでなく、原価改善・コストダウンも調達マンとしての大事な仕事なので、設計改善による原価コストダウンの交渉などもボーイングのエンジニアの方たちと行います。 また、私たち駐在員は部署・役職問わずボーイングから門外漢な質問・リクエストをされることがあります。そういった場合にも、「わからない」で回答するのではなく、駐在員同士で連携して対応、または日本の適切な部署に問い合わせをして回答入手の上、フィードバックをするなどしてしっかり応対します。 自分のパフォーマンスが会社の評価となるので、ボーイングからの信頼を得られるよう頑張っています。 但し、ただ一方的に従うだけというわけにはいかない時もあるので、日本側の主張は双方の背景や立場を理解した上でしっかり伝えます。そういう意味では、緩衝材のような役割も担っていますね。僕たち駐在員がいないとあまりに双方の主張がダイレクトすぎてバトルになってしまいますから(笑) 当時フォークリフトはトヨタ自動車が世界一の製品を持っていなかったころから世界ナンバーワンのシェアを誇っており、世界一の製品を扱う職場でトヨタ生産方式を肌で感じながら仕事を経験できたことは自分のキャリアで大きかったと思います。 豊田自動織機時代の髙山さん(先頭)とご友人の方々 ですが、2009年のクリスマス頃、新聞を読んでいたら、『三菱重工が手掛ける世界初の国産ジェット機プロジェクト要員募集』という一面広告を見つけました。 そのときは大々的にエンジニア募集としか書いていなかったんです、でも無意識に同社のホームページを見ていたら一番下の項目に調達の職種も募集されており、思わず申し込んでみたら話がとんとん拍子に進んだという感じです。 三菱重工本社時代の髙山さん(真ん中上)と元職場の方々 入社後は希望通りMRJのボディ用外板材の調達を担当しており、やっぱりMRJについてはかなり思い入れが深いですね。 米国に来てからは直接関わることはほとんどないのですが、モーゼスレイクという同じワシントン州の町で日夜飛行試験をしているので、近くで応援する形になっています。このままいけば、2020年半ばには初号機をANAに引き渡す予定です。早く日の丸ジェットが空を飛ぶ姿を見てみたいですね。 ※MRJは『三菱リージョナルジェット (Mitsubishi Regional Jet) 』の略で、三菱重工業および三菱航空機が開発している国産初のジェット旅客機。全長は約35メートル、70~90前後の客席数を持つ。低騒音、低燃費、環境負荷の低さを特徴としている。 2020年就航予定のMRJ 引用: http://www.flythemrj.com/j/ 航空宇宙部門は米国や欧州に限らず、一部部品などをベトナムで製造しているので、駐在する国のオプションはいくつかありましたね。当時は海外駐在ならどこでも構わないという話をしていましたが、民間機部門の最大の顧客であるボーイングとサプライチェーンにかかる橋渡しをする人間が必要という話が出ており、そこで私がアサインされました。 駐在開始直前のお見送り会での一枚 加えて、ずっと自分の考えや相手からの依頼を持っているよりも、テンポよく相手とキャッチボール(フィードバック、練り直しなど)を繰り返して双方の認識をすり合わせながら一つの案を磨いていくというのが主流です。 また、依頼した案件に対しては回答がもらえるとは思わず、こちらが責任をもって回答期限を決めて、それまでもProactiveにコンタクトをとりつつ、期限までに質の良い回答をもらえるようお膳立てすることも大事です。また期限を過ぎてからも重要度を説きながら根気よく催促するというのもビジネスにおいて大事なことです。 前半では高山さんの現在のお仕事からこれまでの経歴、アメリカ駐在への経緯などを詳しく語っていただきました。定まったスキルを身に着けていくと同時に、自分のやりたいことを追いかけて常に自分を成長させていく姿はビジネスマンとして理想の姿です! 1つのことに磨きをかけ、訪れたチャンスをしっかりとモノにできるというのは、キャリアアップしていく中で本当に重要なことですね。 後編では、就活マスターの髙山さんが学生時代にしていたこと、学生時代に持っていた考え方など、また多趣味な髙山さんの一面にもフォーカスした面白い内容となっています!! ではこの辺で! 後半の記事はこちら! 【米国三菱重工】国産初ジェット・MRJに憧れ航空業界へ。世界の現場最前線で活躍する調達マン 髙山恵治さん【就活・趣味編】 パイロット関連記事はこちら! ボーイング関連記事はこちら! 【執筆者情報】 竹下 隼平 大阪府東大阪市出身、関西学院大学国際学部を休学せずに留学中。好きな状況は四面楚歌。
これまでのキャリアパス
夢だった航空業界
なぜアメリカに?
まとめ