第二弾!シアトルで働くKyokoさんにインタビューさせていただきました!
バックグラウンド
アメリカの大学で心理学を学んだあと、OPTで精神病を抱える方たちの社会復帰を支援するグループホームで働きました。その後、他の分野で心理学を応用したいと考え、人材育成に関わりたいと思うようになりました。産業心理学で修士号を取得した後、人事コンサルティング会社そしてグローバル企業でリーダー育成に携わりました。10年ほど前にコーチングの資格を取得し、現在はリーダー育成のコーチの仕事をしています。
転職について
自分のネットワークを積極的に活用するように心がけました。例えば、LinkedInで応募先の会社のリクルーターにコンタクトを取りました。また応募方法の一つとして、社員リファレルのプログラム(employee referral program)をできるだけ試みました。これは、アメリカでは多くの企業が使っている採用方法なのですが、社員が自分の知る人材を推薦するというものです。リフェラル採用を通すと、面接に繋げられる可能性が高まることがあります。履歴書は、1件につき2秒しかみてもらえないと言われています。このため通常の応募以外の方法で、面接に繋げられるチャンスが広がることは重要になってくると思います。
アメリカ生活について
個人レベルでの違いはありますが、私の経験として、アメリカでは自分のキャリアに対するオーナーシップの意識が高く、日本では自分が働く会社に対して忠誠心を持つ傾向にあるかと思います。アメリカでキャリアの育成について語られる時は、個人の価値観ややりたい事がフォーカスされます。もちろん、組織が持つ人材へのニーズも共に検討させますが。対照的に、日本では企業間の違いはあるものの、会社が社員のポジションや働く場所を決定する傾向があるかと思います。
ただ最近の傾向として、日本でも社員の持つ多様なニーズに答えようとする動きがあるように思います。これは、長期的に社員のやる気(engagement)を保つためには必要な要素となるので、自然な流れかと思います。今後日本の経済や労働人口の変化と共に、この流れがどのように変わってくるのか注目していきたいと思います。
会社が社員の多様なニーズに対応しようとすることは、皆さんのキャリアにどのような影響があると思いますか?それは、会社、さらには社会から、「あなたは、何がしたいのですか?」と問われた時に、いかに明確に自分の考えを伝えられるかが、皆さんのキャリア育成に大きな影響をもたらすでしょう。既に海外で働くことに興味を持たれている皆さん、自分の可能性について興味を持つことは素晴らしいと思います。自分にどんな選択肢があるのかをさらに追求し、それを何らかの形で発信してみてください。そもそもなぜ海外で働くことに興味を持ったのか。海外で働く可能性を想像してみた時、ワクワクしますか。そのワクワクはどこからくるのか。どの国、どの地域で働きたいのか。どんな同僚とどんなチームと働きたいのか。誰のためのどんな仕事がしたいのか。こんなことを自分に聞きながら追求してみてください。
19歳で一人で渡米しましたので、留学生活、就職活動、引っ越しなど、全て自分でやる必要がありました。頼れる友達はいましたが、みんな自分と同じ立場だったので、教えてくれる人、メンター的な人がいませんでした。当時は、メンターと言う概念も知りませんでしたね。
これからキャリアを構築したいと思う皆さんには、多様性に富むメンターを複数持つことをお勧めします。業種、職種、世代、考え方、そしてリーダーシップのスタイル等が異なるメンターを複数持つことで、自分の視野や考え方が広がります。メンターから意見やフィードバックをもらいながら自分の成長を意識的に促すことは、変化の激しい環境下ではとても重要になってくると思います。
そもそも留学したのは海外に住んでみたかったからなのですが、留学生活が終わる頃、自然と次の挑戦もアメリカでと思うようになっていました。組織心理学で修士号を取ったのですが、学んだことを活かせる場がアメリカの方があるような気が漠然としていました。また当時で既に10年間、日本国外に住んでいましたので、アメリカでの生活にとても慣れていました。この慣れた環境の中で、キャリアを積んでいきたいと思っていたのが理由です。
将来の目標
人がキャリアを育成して行く過程での支援ができればと思っています。現在、Year Upと言う組織を通して、大学生のメンターをしています。Year Upは、20代前半の人たちが、最低賃金の仕事から充実感の持てるキャリアにシフトできるような支援をしています。このようなお手伝いができる機会を今後増やしていきたいです。ここまでお話を聞いていただいて、私が大切に思うことの共通点に気付かれたかと思います。人が社会人としてどんな仕事をして社会にどんな影響をもたらしたいのか、その思いや望みを叶えるための選択肢は何なのか、どのようにその思いを発信して可能性に繋げるのか、このようなアイデアを広げる支援をすることは私にとってやりがいのあることなのです。
そして親として、子供達が将来どんなことをしたいのかを探求する際に、彼らが自由な発想ができるように支援できればと思っています。去年から始まったコロナの影響で、特に仕事を持つ親達は子供と過ごす時間があってもきちんと子供の感情やニーズに向き合うことは難しいと感じた方々がいらっしゃると思います。私もその一人です。フルタイムの仕事をしながらオンライン授業の手伝いをし、さらに子供の持つ感情的なニーズにも注意することは簡単なことではありません。でも柔軟に考えれば新しいやり方は出てくることにも気付かされた一年でした。これからも多忙な毎日の中でも立ち止まり、子供達ときちんと向き合える時間を増やしていけるようにしたいです。
「とりあえず来てみる、体験してみると言う気持ちで最初の一歩を踏み出してみてください。小さな一歩でも十分です。きっと違う景色が見えるはずです! コロナが収まるまでは、まだ実際に来ることは難しいいかもしれませんが、日本からでも色々な選択肢を見出すことはできるはずです。皆さんのクリエイティビティを活かしてみてください。」
まとめ
Kyokoさん、1時間ちょっとのお時間、お忙しい中丁寧にインタビューにお答えいただきありがとうございました!ご自分のやりたいことを仕事にして、挑戦され続けているKyokoさんの姿勢が伝わってきました。また、日米のダイバーシティの違いなど、興味深い話をありがとうございました。また、それが小さくても、一人一人ができることをすることは大切なのだと改めて感じました。私も、自分にできることをもっと考えていきたいなと思います。
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【執筆者情報】
Kazumi Hisamoto
上智大学社会福祉学科を卒業後、Bellevue Collegeに留学。コロナの影響で半年で帰国して今に至る。数年後、また海外で働くことに挑戦したいという野望を抱いている。
Saori Sengen
関西学院大学を休学し、Seattle Central Collegeに留学。趣味はお菓子づくり。